乳がん関連の報告・取材 --- 004 

The 2007 Breast Cancer Symposium 速報 
9月7日 9月8日
http://www.breastcasymposium.org/breastcasymposium/Main/

現地取材:山内英子(在アメリカ)

 

■9月8日

Other Anti-HER2 Agents
Jose Baselga, MD - Hospital Vall D'Hebron

Her2の大御所のひとりであるDr. BaselgaがTrastuzumabに続き期待される治療薬としてのほかの対HER2薬を最新の臨床試験の結果とともに総説してくれた。

Her2のDimerization domaine のepitope を標的としたPertuzumabがその一つであり、Her2のDimerizatioonを妨害する。33名の患者で効果が認められたことは今年のASCOの総会で発表されたが、この7月で患者のリクルートを終了し、現在64人の患者での結果を分析中である。

Trastuzumabにantimicrotubule薬であるDM1を化学的に結合させたT−DM1のphase1の結果で18人の患者のうち4人に成果が認められている(Abstract#168). HSP90の阻害剤も検討されている(Abstract#165).

Biology Differences in Breast Cancer Across Diverse Populations Within and Outside of the United States
Olufunmilayo I. Olopade, MBBS - University of Chicago Pritzker School of Medicine
Socioeconomic Barriers to Optimal Care
Lisa A. Newman, MD, MPH - University of Michigan

最近話題の黒人の乳癌と白人の乳癌の違いに関する発表で、このトピックはたくさんのメディアに取り上げられている。

一般的に黒人の乳癌の予後が悪い原因として、社会的な要因、例えば健康保険の所持率、貧困の程度などの影響があることが考えられること、また医療従事者側のアプローチの相違もあることも指摘された。例えば、センチネル生検の施行率が黒人で低いとのデータも呈示された。

社会的な要因以外に、腫瘍そのものの生物学的な違いもDr.Olopadeの発表で指摘され、黒人の乳癌は若年発症で、ER陰性(Abstract#121), また、最近いわれている“Triple-negative”のことが多い。今後このように人種間の格差を減らす努力が必要であろう。