日本乳がん情報ネットワーク(JCCNB)は、平成17年10月の設立以来、日本の乳がん治療が早期に世界水準に追いつくことに寄与することを目的に活動して参りました。具体的には、全米がん情報ネットワーク(NCCN)などの協力を得て、乳がん治療に係る欧米諸国の情報を日本の医療に携わる方々や自立した乳がん患者に、ネットを通じさらにはセミナー等開催により、発信して参りました。また最近では、社会問題化している医療経済の課題にも積極的に取り組んでおります。
乳がんは多様性に富んだ疾患で、欧米諸国においては、現在、患者個々の症状に応じた治療(ターゲット治療)を行うために「遺伝子レベル」情報を使用する検査・治療への流れが加速化しています。この方法は、既に「乳癌診療ガイドライン」においても採用され、さらには東アジア諸国にあっても、欧米における国際共同臨床試験の結果を反映した診療に取り組んでいる状況にあります。
JCCNBは、このような状況を踏まえ、乳がんを病まれた方々が様々な選択肢の中から自らの症状や価値観に合った治療法を選べるようにしたいと考え、平成23年度も、NCCNの協力を得て、以下のとおり、「情報提供サービス事業」及び「セミナー開催事業」等を実施(実施準備)することとしております。
NCCNの協力を得て、米国の「乳がん関連ガイドライン」及び「補助療法に関するガイドライン」について、それらの改訂版を、ニーズの高さに応じて、順次翻訳し、ホームページを通じて紹介する。
ガイドライン一覧 <HP掲載済ガイドライン>
- ◆ 乳がん関連ガイドライン
- ・乳癌 (Breast Cancer)
- ・乳癌のスクリーニング・診断ガイドライン (Breast Cancer Screening and Diagnosis)
- ・乳癌リスク軽減 (Breast Cancer Risk Reduction)
- ・遺伝子的要因/家族歴を有する高リスク乳がん・卵巣がん症候群 (Genetics/Familial High-Risk Assessment:Breast and Ovarian)
- ◆ 補助療法に関するガイドライン
- ・成人がん性疼痛 (Adult Cancer Pain)
- ・悪心・嘔吐対策 (Antiemesis)
- ・がんおよび化学療法による貧血 (Cancer and Chemotherapy-Induced Anemia)
- ・がん関連感染症の予防と治療 (Prevention and Treatment of Cancer Related Infections)
- ・骨髄増殖因子 (Myeloid Growth Factors)
- ・高齢者のがん治療 (Senior Adult Oncology)
- ・がんに伴う倦怠感 (Cancer-Related Fatigue)
- ・静脈血栓塞栓症 (Venous Thromboembolic Disease)
- ・苦痛緩和医療 (Palliative Care)
- ・精神的苦痛の管理 (Distress Management)
諸外国から講師(スピーカー)を招聘し、個別化治療における効果予測検査法の有用性や同検査法の、日本を含む東アジア地域(中国、韓国及び台湾)での導入の可能性などを検討する。また医療経済効果の検証にかかる国際シンポジウム開催の準備を行う。
(1) NCCN / JCCNB Seminar in Japan (準備)
テ ー マ |
DCISにおける個別化治療 ―現状と今後の展開― |
日 時 |
2012年4月15日(日) |
場 所 |
東京国際フォーラム、D−5ホール |
スピーカー |
Joan S. McClure (NCCN副総裁)
D. Craig Allred (ワシントン医科大学 病理・免疫学 教授)
Benjamin O. Anderson (ワシントン大学 外科 教授)
Zhi-Min Shao (復旦大学癌病院 胸部外科 教授)
Eun Sook Lee (高麗大学安岩病院 外科 胸部・内分泌部門 教授)
Chiun-Sheng Huang (国立台湾大学医学院附設医院 外科 教授)
中村 清吾 (昭和大学医学部 乳腺外科 教授、JCCNB 代表理事)
秋山 太 (公益財団法人がん研究会がん研究所 病理部 臨床病理担当部長)
岩田 広治 (愛知県がんセンター中央病院 乳腺科部長)
大野 真司 (独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 乳腺科 部長)
佐谷 秀行 (慶應大学医学部 先端医科学研究所遺伝子制御研究部門 教授)
武井 寛幸 (埼玉県立がんセンター 乳腺外科 科長兼部長)
藤原 康弘 (国立がん研究センター中央病院 副院長(経営担当)乳腺科・腫瘍内科 科長
堀井 理絵 (公益財団法人がん研究会がん研有明病院 病理部) |
Discussant |
明石 定子 (昭和大学医学部 乳腺外科 准教授)
川端 英孝 (虎の門病院 乳腺内分泌外科 部長 東京大学医学部講師(非常勤)
徳永 えり子 (九州大学大学院 消化器・総合外科 九州大学病院 乳腺外科(2))
中山 貴寛 (大阪大学大学院医学系研究科 外科系臨床医学専攻 乳腺・内分泌外科学講座)
坂東 裕子 (筑波大学医学医療系 乳腺甲状腺内分泌外科)
森谷 卓也 (川崎医科大学 病理学2 教授 同附属病院 病院病理部 部長) |
(2) NCCN / JCCNB Debate(予定)
テ ー マ |
ケースで学ぶ個別化治療の理論と実践 |
日 時 |
2012年11月16日(金)〜19日(月) |
場 所 |
東京国際フォーラム D―5ホール |
スピーカー |
中村 清吾 (昭和大学医学部 乳腺外科 教授、JCCNB 代表理事)
Robert W. Carlson (スタンフォード大学 腫瘍内科 教授) 等
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(3) JCCNBセミナーの開催
欧米の国際会議にて取り上げられる重点項目を中心に会議の概略を報告する。
JCCNBセミナーは、各種バイアスを抜きにしたものでup to dateなテーマを取り上げ、JCCNB
中村代表理事を中心に参加者が自由な環境のもとディスカッションをしてともに学んでいく。
@ ASCO(全米癌治療学会議)年次総会(シカゴ)報告会(実施済)
開催日時 |
2011年6月11日(土)、10:00〜12:30 |
会 場 |
聖路加国際病院2階、トイスラー記念ホール |
A ASCO Breast Cancer Symposium(サンフランシスコ)報告会(実施済)
開催日時 |
2011年9月17日(土)、10:00〜12:30 |
会 場 |
聖路加国際病院2階、トイスラー記念ホール |
B San Antonio breast Cancer Symposium報告会(実施済)
開催日時 |
2011年12月17日(土)、10:00〜12:30 |
会 場 |
聖路加国際病院2階 トイスラー記念ホール |
乳がん治療に携わる専門医に対し、非浸潤性乳管がんに関するアンケート調査を行い、回答結果を取りまとめ、分析する。